清水港は、まぐろの水揚げ量が日本一の港です。
🇬🇧 Read this guide in English: English version
ただ、「まぐろが食べられる港」というだけではなく、世界中どこを探しても清水でしか食べられないものもあります。
食という切り口で見ると、清水は日本でも指折りの寄港地だと思います。
船を降りてからの2〜8時間、ツアーに参加しなくても十分に楽しめます。
このガイドでは、何を食べるか、どこへ行くか、いくらくらい持っていけばいいかを、地元目線でまとめました。
清水港が「食の港」である理由
日本のクルーズ寄港地の多くで、おいしい魚介類は食べられます。
でも清水には、「ここでしか食べられない」と言える地理的な理由があります。
ひとつめは、駿河湾の深さです。
清水港が面する駿河湾は、最深2,500メートルで日本一深い湾です。
冷たく栄養豊富な深層水が湾内を絶えず循環していて、豊かな海洋生態系を支えています。
清水の食が特別な理由は、まずこの海の深さにあります。
ふたつめは、まぐろの水揚げ量です。
清水港のまぐろ水揚げ量は、全国トップ。
太平洋をはじめ各地から戻ってくる大型のまぐろ漁船が清水を拠点にしていて、日本全国に流通するまぐろのかなりの量がここを経由します。
東京のスーパーで売られているまぐろが、実は清水経由だった、という話も珍しくありません。
清水でまぐろを食べるということは、その流通の起点で食べるということでもあります。
みっつめは、桜えびです。
「さくらえび」という小さなピンク色のえびは、地球上で駿河湾にしか生息していません。
世界で唯一の産地が、清水のすぐ南にある由比漁港です。
漁期は春(3〜6月)と秋(10〜12月)だけ。
旬の時期に清水を訪れた人だけが味わえる、本当の意味での「旬の味」です。
この3つの条件(深い湾、日本一のまぐろ水揚げ、駿河湾固有の桜えび)がそろった港は、日本に清水しかありません。
清水の「三大食材」
まぐろ
まぐろを食べることだけを目的に清水へ来ても、十分楽しめると思います。
清水港は日本一のまぐろ水揚げ港なので、ここで食べるまぐろは産地直送そのものです。
東京や大阪のお店で食べるときのような、「どこを経由してきたか分からない」という不安がありません。
まぐろの食べ方は種類が豊富です。
- 赤身:さっぱりとした旨みで食べやすい
- 中とろ:適度に脂がのって、旨みのバランスがいい
- 大とろ:口の中でとろける最高級部位
港周辺の食堂では、まぐろ丼(いろいろな部位のまぐろが乗ったどんぶり)が1,500〜2,500円程度で食べられます。
東京の回転寿司でそれなりのまぐろを食べるのと同じくらいの値段で、もう一段上のクオリティが味わえると思います。
市場に行くと、200〜300キログラムの本マグロが氷の上に並ぶ光景も見られます。
タイミングが合えば、ぜひのぞいてみてください。
食べ方に迷ったら、まぐろ丼か、数種類の部位を食べ比べできるまぐろ刺身の盛り合わせがおすすめです。
まぐろは年中食べられますが、特に夏(7〜8月)の太平洋本マグロは脂がしっかりのっていて、味の乗りが違います。
桜えび
清水に来たら、桜えびも試してみてほしい食材です。
ここでしか食べられない味だからです。
桜えびは、体長約4センチメートル。
旬のものは半透明のピンク色で、甘みと旨みが凝縮されています。
いちばん定番の食べ方は、かき揚げです。
桜えびをたっぷり使った天ぷらで、揚げたてはサクサク、中はふんわり。
口の中に磯の香りが広がります。
生の桜えび(そのまま「生桜えび」と呼ばれます)は、さらに希少です。
火を通さない状態だと、繊細な甘みとほのかな磯の風味が感じられます。
漁期だけの、この地域でしか味わえない一皿なので、メニューに見つけたら注文してみるのがおすすめです。
干し桜えびは年中買えて、お土産にも向いています。
軽くて常温保存ができて、旨みが濃い。
清水のお土産のなかでも、コスパはかなりいいほうだと思います。
漁期について、ひとつ注意があります。
春(3〜6月)・秋(10〜12月)以外は、生の桜えびはメニューから消えます。
年中食べられるかき揚げも、旬とそれ以外では味がはっきり違います。
旬の時期に訪れる方は、少し運がいいと思います。
しらす
清水から南の由比エリアにかけては、日本でも有数のしらす漁場です。
しらすとは、主にカタクチイワシの稚魚のこと。
駿河湾の浅瀬で大量に獲れます。
いちばんの食べ方は、生しらす丼だと思います。
採れたての生しらすは、白くてぷるっとした見た目。
しょうがと醤油をかけて、ご飯にのせるだけ。
シンプルですが、磯の香りとほのかな甘みが楽しめます。
ただし生しらすは鮮度が命で、産地以外ではほとんど流通しない希少品です。
冬(1〜3月)は漁が禁止されているため、食べられるのは春〜秋に訪れた人だけです。
釜揚げしらすは、年中食べられます。
さっと茹でたもので、ふんわり柔らかく、塩気もちょうどいい。
しらす丼のトッピングやご飯のお供として、ほとんどのお店で見かけます。
生しらすと釜揚げしらすを両方のせた「ハーフ&ハーフ丼」を出すお店もあります。
食べ比べができて、1,000〜1,500円ほど。
漁期に訪れたなら、試してみる価値があると思います。
港周辺のおすすめスポット
ツアーもタクシーも使わなくて大丈夫です。
日の出埠頭(クルーズ船が着岸する場所)から徒歩圏内で、おいしいものが食べられます。
河岸の市(Kashinoichi)|埠頭から徒歩10分


「河岸の市」は清水を代表する魚市場で、クルーズ乗客にとっていちばん使いやすいグルメスポットだと思います。
2つの棟に分かれています。
いちば館は、小売とフードホールの棟です。
新鮮な海産物を眺めながら買い物ができて、カウンター席や座席のあるお店で食事もできます。
英語メニューあり・クレジットカード可です。
- 営業時間:9:30〜17:30
- 定休日:水曜日(寄港日が水曜と重なる場合は営業していないので注意してください)
- おすすめ:海鮮丼・まぐろのたたき・桜えびシュウマイ
- 価格帯:500〜2,000円
まぐろ館は、まぐろ専門の飲食棟です。
まぐろだけに絞ったメニューで、品質と価格のバランスが取れています。
- 営業時間:概ね11:00〜15:00(14:30頃には閉まることも多いので、早めに行くのが確実です)
- 定休日:水曜日
- おすすめ:まぐろ丼・まぐろ刺身盛り合わせ
- 価格帯:1,000〜2,500円
- 英語メニュー:あり
- カード払い:可
アクセスは、日の出埠頭から海沿いを北へ徒歩10分です。
平坦な道が続くので、歩きやすいと思います。
週末や祝日は混みます。
11:30より前か13:30以降に行くと、待ち時間が少なくて済むことが多いです。

S-Pulse Dream Plaza 清水すし横丁|埠頭から徒歩5分


日の出埠頭のすぐとなりにある大型複合施設が、S-Pulse Dream Plaza(エスパルスドリームプラザ)です。
赤と白のカラーリングが特徴的で、船からもよく見えます。
その中にある「清水すし横丁」は、複数の寿司店が並ぶグルメゾーンです。
しっかり座ってお寿司を楽しみたい方や、歩く距離を最小限にしたい方に向いています。
- 営業時間:11:00〜21:00
- おすすめ:清水産まぐろの握り・桜えびの軍艦巻き
- 価格帯:1,500〜4,000円
- 英語メニュー:あり
- カード払い:可
同じ施設内には、ちびまる子ちゃんランド(作者のさくらももこさんは清水出身です)、静岡のお土産コーナー、フードコートもあります。
館内は、無料Wi-Fiも使えます。
時間が限られている日でも、ここだけで清水らしい体験がひととおりできます。
時間に余裕があれば:由比の桜えびスポット|車で約25分
清水港から南へ車で約25分、由比漁港の周辺には、桜えび専門の食堂が点在しています。
春と秋の漁期には、その朝に水揚げされた桜えびのかき揚げが食べられます。
市場のものと比べると、鮮度の違いははっきり分かります。
ただし、足を延ばすなら、次のすべてに当てはまるかを確認してみてください。
- 春(3〜6月)か秋(10〜12月)に寄港している
- 上陸時間が4〜5時間以上ある
- タクシー代(往復で7,000〜9,000円程度)が予算に入っている
ひとつ注意したいのは、由比エリアの桜えびの食堂は、ほとんどが現金のみ・日本語メニューのみということです。
写真メニューを指さすか、翻訳アプリを使えば何とかなりますが、ハードルは少し上がります。
価格は、1人800〜1,500円ほど。
漁期外の訪問には向いていません。
お茶も忘れずに
清水がある静岡県は、日本の緑茶生産量の約40%を占める、国内最大のお茶の産地です。
静岡でどこのお茶を飲んでも、品質は日本トップクラスと言えるほどです。
注目してほしいのが、深蒸し煎茶です。
静岡の特産品で、通常の煎茶より長く蒸すことで、濃い緑色と深いコクが出ます。
お土産に選ぶなら、「深蒸し」と書かれたものを選んでみてください。
もうひとつ、わさびも静岡らしい食材です。
静岡県、特に安倍川流域は日本一のわさび産地で、清水でも地元産のわさびが使われます。
本物の生わさびをすりおろしたものは、チューブのわさびとは別物です。
ツンとくる刺激がありながら、ほんのり甘く、風味も複雑です。
お刺身や握りを食べるときは、わさびだけを少し味わってみてください。
季節別・旬カレンダー
清水での食体験は、訪れる時期によって大きく変わります。
| 季節 | 旬のもの・おすすめ |
|---|---|
| 春(3〜6月) | 桜えび漁解禁。生桜えびが食べられる。しらす漁本格化。桜えびかき揚げが最高の季節。 |
| 夏(7〜8月) | 太平洋本マグロの品質ピーク。しらすも豊漁。暑いので午前中の行動がおすすめ。 |
| 秋(10〜12月) | 桜えび秋漁解禁。脂がのったしらす。まぐろも引き続き充実。晴天率が高く富士山も見えやすい。 |
| 冬(1〜2月) | しらすは禁漁期。桜えびは干しのみ。まぐろ・わさび料理が中心。富士山の積雪ビューは最高。 |
食の面でいちばん良い寄港時期は、4〜5月と10〜11月だと思います。
桜えびが旬で、まぐろも安定していて、しらすも食べられる。
この3つが重なる時期です。
クルーズ乗客への実用情報
いちばん大事なのは、現金です。
清水の小さな飲食店や市場の一部は、現金のみです。
河岸の市(いちば館)やS-Pulse Dream Plazaはカードが使えますが、そこから一歩外れると、現金だけの世界になります。
ATMはコンビニにあります(セブン銀行のATMなら、外国発行のカードも使えます)。
河岸の市から5分以内に、セブン-イレブンがあります。
次に、水曜日です。
いちば館・まぐろ館ともに、水曜日は定休です。
水曜に寄港する場合は、グルメのメインプランをS-Pulse Dream Plazaに切り替えてください。
こちらは年中無休です。
桜えびの漁期も、事前に確認しておきたいポイントです。
春(3〜6月)・秋(10〜12月)以外に訪れる場合、生の桜えびは食べられません。
由比まで足を延ばしても漁期外なら食べられないので、旅程に合わせて計画を立ててみてください。
帰船時間からの逆算も忘れずに。
クルーズ船は、日の出埠頭(Hinode Pier)に着岸しています。
河岸の市もS-Pulse Dream Plazaも徒歩10分以内ですが、乗船前の列などを考えると、出航30分前には日の出埠頭に戻っておくのが安全です。
由比まで行った場合はタクシーで30〜35分かかるので、もう少し余裕を持ってください。
出航に間に合わないと、次の寄港地まで自力で移動することになります。
Wi-Fiは、港ターミナルとS-Pulse Dream Plazaで無料で使えます。
道順の確認やメニューの翻訳に活用してみてください。
船に持ち帰れるもの、持ち帰れないもの
寄港地で買ったものには、船に持ち込めるものと持ち込めないものがあります。
要冷蔵の生鮮品(刺身・寿司・生の魚介)は、ほぼすべての船会社が禁止しています。
未開封で常温保存できる市販品(干物の真空パック、桜えび、お茶、菓子)は問題ありません。
日本酒などのアルコールは購入できますが、船がいったん預かり、下船日に返却されます。
包丁も同様に預かりです。
詳しくは、河岸の市ガイドの該当セクションにまとめています。
よくある質問
Q. 日本語が話せなくても清水で食事はできますか?
はい、問題ありません。
河岸の市(いちば館・まぐろ館)と、S-Pulse Dream Plazaのすし横丁には英語メニューがあります。
写真メニューを指さすだけでも、たいていのお店で通じます。
由比の桜えびの食堂は英語メニューがないことが多いですが、スマホの翻訳アプリと指さしで何とかなると思います。
Q. 食事の予算はどのくらい見ておけばいいですか?
河岸の市でまぐろ丼のランチなら、1,500〜2,000円(飲み物込みで2,000〜2,500円)。
S-Pulse Dream Plazaのすし横丁でしっかりお寿司を食べるなら、1人2,000〜3,500円です。
市場での軽食やお土産も含めると、食事全体で2,500〜4,000円を見ておくと余裕があります。
由比へのタクシーを加えるなら、往復の交通費として7,000〜9,000円が別にかかります。
Q. 1品だけ食べるとしたら何がおすすめですか?
まぐろ丼(河岸の市・まぐろ館)だと思います。
埠頭から徒歩10分、英語メニューあり、カード払い可で、品質も安定しています。
日本一のまぐろ水揚げ港で食べる本物のまぐろ丼は、この寄港地ならではの体験です。
桜えびの漁期(春・秋)に訪れているなら、答えは由比の桜えびかき揚げに変わると思います。
*最終更新:2026年5月。営業時間や価格は変わることがあります。訪問前に各施設へ直接ご確認ください。河岸の市は毎週水曜日が定休日です。*